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2008年11月30日 (日)

快傑ライオン丸(トーク用メモ)

フジテレビのCS番組「特撮伝説ピープロ魂」(2007年8月10日オンエア)に呼ばれたときのメモです。『ライオン丸』中心に絞ってほしいという要望でしたので、そのQ&Aになってます。タイガージョーは現場で語ればいいと思ったのか、ちゃんと書いてませんね。文章になってなくて、すいません。「ゴリラの自動販売機」って、人間が中に入る催事場用のもので、ピープロはそういうのもやっていた、そういう感覚が地続きだという話ですね(笑)。

『快傑ライオン丸』はファンタスティックコレクションの最終回あらすじ書きが燃えました。DVD-BOXも最終回だけ諸事情できれいな映像が『風雲』の方に行ってしまったのですが、そこを増補改訂した廉価版BOXも出てます。
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Q.ピープロ特撮の魅力とは?

・絶対に他ではできない発想。
 ゴリラの自動販売機
・悪側に思い入れ
・猫族へのこだわり。
・肉で言えば「レア」な感じ。
 血がしたたるような生っぽいところ。
 腕が溶けたり、残酷。
 安さも生っぽい。
 ライオンの面が生きてるように見えてくる。
・妙に古典伝承的、講談風な継承
・急に「絵」になってしまう
・メチャクチャだけど、入ってしまうとシビれる。
・オトナが作ってる

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Q.印象に残ったライオン丸の場面、エピソードは?
(快傑でお願いします。ベスト3で熱くお願いいたします)。

1)最終回「ライオン丸 最後の死闘」
 ライオン丸が弱い:タイガージョーに護られたりする
 その弱さを見つめるところがいい
 ゴースンも事実上、一太刀で仕留める

2)第27話「悪の剣士タイガージョー」
 ライオン丸に執念を燃やし始めるなかで、
 過去が語られる。映像が渋い。

3)第24話「ライオン飛行斬り対怪人トビムサシ」
 「美女と野獣」もの
 目の見えない少女を助けるためにゴースンと契約するトビムサシ
 「異形の者」の宿命が端的に描かれている。
 二重構造がすごい。ひな鳥が落ちた→通行人の目を斬った
 武芸者としての葛藤、求道に生きる気高さ。
 でも、なぜかフェンシング(笑)
 一転して夕景になったり、目は治らない:それを受け入れる
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Q.好きな怪人を選ぶとすると何? 両ライオン丸でお願いします。

【分身魔王デボノバ】
宇宙猿人ゴリを演じた遠矢孝信さんが入っていて、クレジットを見る前にその手の演技とか偉そうな態度で「あ、ゴリ様だ」とわかる。目に電飾入ってるのも、さすが幹部。声も清川元夢さんで、格好いい(8~13話)。大宮ていじだったり、飯塚昭三だったり。
アクション俳優集団JFA所属。

【ネズガンダー】
ネズミが銃を持って、ネズガンダー。やってることはタイガージョーと変わらないのに、人気は出なかった。おっさんくさいせいか、シルエットがアブナイからか……。

【パンダラン】
実は猛獣という説を先取り? オカリナを吹くオバQみたいな造型。
トドカズラとか、カワイイ系の怪人が多い。

【キチク】念仏を唱える。ゴースンに逆らって島流し。急に娘の血が飲みたいと言い出す。

ドクロ仮面3号、算用数字の「3」って書いてある。メチャクチャ。

【ノイザー】ビワを弾く(琵琶法師)

【ジェンマ】ゴースンに敵対するガンマン怪人。マカロニウエスタンのジュリアーノ・ジェンマ。「暁のガンマン」「怒りの荒野」 その次は「マフィアン」 子ども置いてきぼり

風雲だと「ドカゲ」や「シャゴン」高山良策造型で妙に出来がいい
「ケカビー」などは『シルバー仮面』に出てきそうな。
「ガズラー」はセブンのワイアール星人。
三色仮面、バイクに乗ってる。

ネーミングがすごい。オロチとか
「ワクランバ」 → 病葉(わくらば)
「ヤマワロ童子」とか。割と正当派。
かと思えば「ドキ」はハニワ。
「フラワンダー」って、なぜ英語?
あげくに「キチク」だし。

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Q.また、タイガージョーについて一席いただければと存じます。

ピープロの魅力の一つに「憎めない悪役(ライバル)」があったりしますので、個人的にも勧善懲悪っぽくないところが好きでした。

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2008年11月21日 (金)

遅効性の毒(劇場版トップをねらえ2!)

●遅効性の毒(2006年10月01日08:12の日記から)

 明け方――
 急に頭のなかで何かが化合して、涙がコボれてきた。
 なんでだかわからなかったが、どうも『トップ2!』のことらしいと、しばらくして気づく。

 そうなんだ。自分で書いてたじゃん。
 「明るい話かと思ったら、切ない話」って。
 これ、要するにノノのことがメインの話だと思ったら、メインはラルクにことだったという意味なんだ。
 劇場版は整理するときに、そこをストレートに出している。

 そしてクライマックス、巨大メカのどつきあい。OVA観たときには正直、滑ってるんじゃないかと思う部分もあった。だけど、でかいものが正しくでかく見えるスクリーンで、きっとスタッフの「マジ」がストレートに飛びこんできて、浴びてしまったんだと思う。
 拒絶することもできず、染みこんでしまった映像体験。
 それが「毒」。
 じわじわと効いてくる毒。
 1と2が「対」になることで効く毒。
 あ、いけね。このことも自分で書いてるじゃん。
 オレってバカなのか?

 次なる触媒は、「トップ2!」最終回のサブタイトル。
 ガイナックスの伝統に従って、それはSF小説からの引用で、「あなたの人生の物語 (テッド・チャン著)」。
 この「あなた」って、「ラルクはあなた」という意味なんだよね、きっと。

 そしてもっとも気になるのは、未見の方のネタバレになったらゴメンだが、「別離」のシーン。あの静謐さのせいだよね、あとでジワジワ効くのは。

 そういうのが、もろもろ頭の中でひとつになって、「永遠に戻らない人」のいくつかの記憶と結びついて、オレはそういう人たちに対して本気だったのか、真剣だったのかというような悔悟とも結びついて、それでヤラれちゃったんだと思う。

 もちろん「トップ2!」が「泣ける映画」とか言うつもりはない。表現としてはわかりにくいものだろうし、1の方がそこは圧倒的に伝わりやすくできている。
 でも、「2!」はちょっとぶっ飛んでいたりする点など、拒絶感もあるだけに、「毒」として良く効くものだったんだろうなあ。これ、しばらくやられてしまいそう。

 そんなこんなで「あなた」というキーワードとか再考すると、これってけっこうヤバイよね。だって、「お宅」って本来は「あなた」のよりpoliteな言い方でしょ。でも、その分だけ皮膜を張って他者を拒絶しつつ関係をもつという、そういう二人称を使うのが「オタク」。
 それが「あなた」になることが物語の完結になるわけだし。ラルクが、宇宙一のオタクだったかもしれない「ノリコ」に似ていると言われたりしてることも関係があるわけだし。

 そういうわけで「あなたの物語」は、「あ、オレの物語だったのか……」という認識に時間をおいて染みわたり、そのじわじわさ加減に、急に涙が出てきたわけ。

 結局、この「オレの体験」の話も、すごくわかりにくいと思う。でも、それでいいんだと思う。
 その方が、やっぱりジワジワと効くかもしれないからね。
 いま、速攻で答えを求めすぎなんだと思う。でも、それは消費速度を増すことに加担することになるからさ。全部がこうである必要はないけど、じんわりとした化合を楽しむこともまた、長い人生、たまには良いんじゃないのかなあ。
 そんな作品を贈ってくれた『トップ2!』スタッフには、すごく感謝してます。いまさらですが、この作品のことをすごく好きになってます。

 そういうわけで、この話はしばらく表には出さない。
 この話自体が、なにかひとつの「公式回答」のように思われたら、せっかくジワジワと染みてる途中の毒体験を阻害するかもしれないからね。

編注:mixiに書いた日記です。後に「ロトさんの本」に再録。

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