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2006年11月16日 (木)

アメリカ人の目で見る日本のアニメ

<リード>
 いまや日本で世界に誇れる産業はアニメとゲームだ! と、よく一般誌に書かれている。だが、ピカチュウだけではない、日本製アニメの別の海外評価が、ここにある!

<本文>
 アメリカでは、どこのショッピングモールにも、ビデオ専門店がある。「アクション」「Sci-Fi」がそれぞれ1棚あったとすると、日本製アニメは同じサイズの1棚占領していたりするのが通常の光景なのだ。これはインパクトがある。棚の名前は「Japanimation」ではなく、「Anime'」か「Japanese Animation」である。
 『ドラゴンボールZ』『らんま1/2』など日本でのヒット作がそのままスライドして米国版になっているものも多い。が、圧倒的に受けを取っているのは、やっぱりヒロインものだ。書店に行けば、米国人オリジナルによる『ダーティペア』や『バブルガム・クライシス』が並んでいるし、『セーラームーン』の5人のヒロインがそれぞれソロで1冊のムックになっていて衝撃的だ。
 ビデオで目立つのは、オリジナル・ビデオ・アニメ。もちろんエロスとバイオレンスの横溢した作品が多いからだ。アニメが国境を越えるひとつの要因には、「裸と暴力」が万国共通言語になっているわけである。
 そんなわけで、その代表作たる「UROTSUKIDOJI」のパッケージを発見したとき、これ以上のサンプルはないと、レジに速攻で持っていった。あの『宇宙戦艦ヤマト』の西崎プロデューサーのもうひとつの代表作、日本でも大ヒットを飛ばした『うろつき童子』のことである。ここでお断り。筆者が買ったものは、無修正版ではなかった。最初のシリーズ3本を再編集したもので、肝心なところはカットされて露骨度が減少している。なあんだ、ガッカリ……いや、無修正だったら日本に持ち込めないんですけどね。
 そんなことよりも、もっとインパクトのある素晴らしいオマケが、このビデオにはついているんである!  いきなりお城と鳥居の映像が出てきて、もうこれだけで充分怪しい。いろんなアニメ作品(ほとんどアダルト作品)から抜いたと映像をバックに、渋い声でこんなナレーションが流れる。
「あなたが日本製アニメの初心者なら、この数分間でキャラクターをユニークにしている歴史的、文化的バックグラウンドについて学ぶ時間をお取りいたしましょう」
 そう、イントロとして「Anime Artform」なる5分くらいのチュートリアルが添付されているのだ。さすがマニュアル文化のアメリカ!
 まずは、女の子の髪の毛の色が黄色や青や緑になってて、ポニーテイル、リボンなど特徴ある髪型になっている説明だ。これはキャラクターを容易に描き分けるテクニックと片づけられる。まあ、本当のことだから仕方ない。
 「学校の制服」のパートで説明されるのは、当然、「水兵スタイルのブラウスとスカーフ」……すなわちセーラー服と、そして体育のブルマスタイルなのだ。やはり女の子が水兵の格好をしているのは不思議なんだろうなあ。バックにはセーラームーンのアダルト・パチモンの映像が流れるのが芸コマだ。学生の制服の歴史……それは1800年代末までさかのぼり、ジャーマニ、ビクトリアン、イングランド各国の文化の影響だとナレーションはつけ加える。ガーン、そうだったのか! しかし、それを知ったからと言って日本製アニメを見るのに何の役に立つのだろうか。
 そしてついに来るべきものが来る。「わん・くえすちょん・ふれくえんとり・あすくと……」 いわゆるFAQだ。そう、その質問とは、「なんだって、みんなそんなに目がでかいのか?」ってこと。これにも驚くべき解説がつく。「これは西洋の影響で、1930年代の古いディズニーキャラクターの影響に端を発している」 ええっ? ナレーターは渋い声で、さらに驚きの言葉を続ける。「いまや大きな目はアニメ、マンガのスタンダードだ。アメリカのコミックは日本市場に売るのに失敗した。なぜなら小さくて薄い目は、アンファミリーであまりに冷たいとみなされるからだ」 ひえー、そうなの? と驚きのバックに流れる映像は、淫獣ものの悪役が酷薄に笑う細い目なのだから、妙に説得力があるような、ないような(笑)。
 最後のテーマもスゴイ。「西洋人はしばしば不思議に思う……なんで声優はこんなにハイピッチのヴォイスなんだ?」 実例として甲高い声(ただし吹き替え後)の女の子が次々と語りまくる。するとナレーターは淡々と、「これも文化現象だ。こんな声は、日本ではモア・アトラクティブでフェミニンと思われる。多くの日本の企業ではセールスアシスタントに、顧客に接するときにハイピッチ・ヴォイスを使うよう指導している」と、しめくくるのだった。ホントかよ?
 うーん、こんなレッスンを受けながら、アメリカ人たちは日本のアニメを必死こいて文化的に理解しようとしているんだね。知らなかったなあ。なんてアメリカ人は勉強熱心なんだ!
 でも、続いて流れるのは、魔物の触手がびゅるびゅると伸びて女の子の服を破って犯しまくる映像なんだけどさ(笑)。これを見ているときも、アメリカ人は日本の文化のことを理解しようとしているのかなあ? 別のコトをしているんじゃないのかなあ……。
【初出:プチグラ 脱稿:2001.03.08】

※1996~2000年にかなり数多く海外に行く機会があり、米国中心に海外アニメ状況を自分の目で見てきたままに書いた原稿です。だいぶ時間が経過して変化はあると思いますが……。

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