「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展」について
6月24日(水)~8月31日(月)国立新美術館で展覧会「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」が開催されています。好評のようでして、本記事の最後に主なネット上の紹介記事を掲載します(CG-ARTS協会の阿部芳久氏のまとめを参照しました)。
それで一部に氷川の名前が記載されていることもあって、いくつかお問い合わせをいただいてきた経緯もあるので、自分の立場についてあらためて説明します。
昨年、メディア芸術祭関連でお世話になっているCG-ARTS協会さんからご依頼があり、中野晴行さん(マンガ)、さやわかさん(ゲーム)とともに参加しました。その時点で、すでに1989年以後ということ、三分野の横断的な展覧会となることは決定済みでした。
国立新美術館でこの大きな規模の展示会が開催されること、日本でのメディア芸術が相互作用的に発展したこと、海外展を通じてその意義を伝えること等に賛同しています。
国立新美術館でこの大きな規模の展示会が開催されること、日本でのメディア芸術が相互作用的に発展したこと、海外展を通じてその意義を伝えること等に賛同しています。
ただし、これらはポップカルチャーとも呼ばれるように、商業主体で発展したものであり、いかに国立の美術館といえども権利元の許諾がなければ展示できません。許諾を得られたものを軸に展示会の全容を決めるということを想定していたのですが、そこで依頼されたのは、三者が美術館に集まり、関係者交えて議論をした上で「コンテクスト」を先に決める、という作業でした。
ある程度上がっていた作品リスト上から足し引きをすること、そして編年体とせずにトピックを絞りこんで特徴を際だてることなど、数回の打ち合わせを追えた後は、三者でそれぞれのジャンルについて梗概を書くことを依頼されました。
それが国書刊行会さんから発行されている「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム from 1989」です。結果的に氷川担当分は口述がベースとなってますが、大幅に手をいれて、非常に厳しい文字数制約の中でもベストを尽くしました。 同書が「図録」ではなく「関連書籍」となっているのは、書籍に掲載されている作品群と展示がリンクしない可能性が大であることが、当初から想定されていたからです。
(※余談ですが、同所の肩書きは誤記で「アニメ批評家」となってますが、本来は「アニメ・特撮研究家/明治大学大学院客員教授」が正しいです)。
ともかく、原稿納品後は、そこで氷川としての作業は「おしまい」です(発行ギリギリでエヴァンゲリオン関係の作品解説だけ追加執筆依頼がありましたが)。
つまり展示については、氷川はいっさい関与していません。
納品後、「展示のほうはどうなったのかな」というオボロゲな気になり方はありましたが、6月初旬になり、ようやくCG-ARTS協会さんから概説があるまでは、おそらく半年くらい関係者からはまったく連絡がありませんでした。
その間、10人近くの方に「あれは氷川さんが展示を担当されているんですよね」などと声をかけられたのですが、当惑するばかりです。そのたびに前述の経緯を説明していた次第です。「氷川さんのお名前があったので安心して協力しました」と言われたときは困りましたが、協力はしているので否定せずに、「展示の監修とかキュレーション、仕切りをしているわけじゃないんですよ」ぐらいで、なるべく正確に。成功してほしいのでネガティブではなく、なるべくポジティブに。
そして展示そのものに不満があるわけではないです。前述のとおり意義深いですし、珍しい原画類を多く見られて良かったです。海外展開ふくめ、この展示会が開拓する可能性は大きいと思っています。さらに内覧会では、限られた時間の中で権利クリアして展示物を集められた努力を確認し、そしてギリギリ粘って展示のデザイン的クオリティをアップした話もうかがいましたので、発展的に成功してほしいと願うばかりです。その展示デザイン時に関連書籍から氷川の文章を引用していただいたようで、その点には感謝です。
整理しますと、
・コンセプトワークに参加した
・関連書籍執筆に参加した
・同文章が展示会に使われている
という関与が、これまでの経緯です。
今後は2020年ごろまで国内・世界巡回が予定されているとのことなので、また何かご協力できる機会があれば、個別に判断して対応することもあろうかと思います。
ともあれ、展示はなかなか壮観ですし、この四半世紀をこういうかたちで総覧する機会もなかなかないので、ぜひご覧いただければと。よろしくお願いします。
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