『宇宙戦艦ヤマト2199』発進式 ~俺たちのヤマトSP~
昨夜、18日の夜に「よみうりホール」で行われたイベントの模様がニュースサイトに出ています。
http://www.cinematoday.jp/page/N0039377
http://animation.blog.ocn.ne.jp/anime/2012/02/2199_sp_f99c.html
http://newslounge.net/archives/10402
他にも出ると思いますが、取り急ぎ。
当日のイベント構成台本、フロアディレクター的なことを担当されたライターの小林治さんのサイトに、裏話もいくつか出てますので、参考になると思います。
http://tachime.blog.so-net.ne.jp/2012-02-19
小生はスタッフトークのコーナーで出渕裕総監督、キャラクターデザインの結城信輝さんと登壇。
「宇宙戦艦ヤマト」という作品の歴史的な位置づけを主に語り、総監督の談話の補足などを行いました。
スライドには「ヤマトがアニメを変えた」とあったのですが、
・そもそも1974年のヤマト以前は全部特撮とかと混ざった「テレビまんが」だった
・中学生、高校生にもなってテレビまんがを見てるんじゃないみたいな状況
・「ヤマト」でこれはいままでとは違うということで「アニメ」という呼び名が拡がった
・アニメのファンクラブ活動や同人誌自体もヤマトで大きく拡大、発展。
・小生と出渕裕総監督もその当事者だった
・1977年の劇場版ヤマト公開時に大ブレイク、アニメ雑誌ができた
・アニメ業界にもヤマトをきっかけに多くの若者が参加していった
・アニメ雑誌の初期のライター、編集者もヤマトファンからの流れが多い
という背景から(全部は言えないのでかいつまみましたが)、続くガンダム、エヴァはヤマトありきの成立だし、あるいは宮崎アニメもアニメ雑誌掲載のナウシカからブレイクですから、直接的ではないにせよ、影響があります。もしヤマトがなければ、深夜アニメというジャンル含めて、なかったものも多い。要するにいろんな状況の原点であることを、かいつまんで述べたつもりです。
ただ、それは感謝しろとかいう小さい話ではなく、それだけのエネルギーがあったということ、また受けとった観客が何かしなければならない気持ちにさせる作品だということ、だからこその、新旧をうまく橋渡ししようとする今回の「ヤマト2199」だというのが言いたかったので、そこがうまく伝わってればなあと願うばかりです。
あと「公式ライター」という肩書きがいろいろ誤解を招いているのも実感してますが、
・シナリオや設定などクリエイションには関与していません
(初期にホン読みにオブザーバーとして数回出席しましたが)。
・ライターというのは広報関係の文筆執筆のことです。
・最初のチラシ、ポスターのキャッチやイントロダクションなど執筆してます。
・パンフや公式HPなどについては氷川側のスケジュールの都合で、他のライター
さんでお願いしています。
ということだと、「公式ライター」からはちょっとズレが出てます。
ただし、こういう立場でもあるので、まあ今後の活動でギャップは埋めようかなとも。
ややこしい話ではあるんで、箇条書きにしますが、
・出渕総監督とは35年来の友人でもあり、同人誌をともにつくった仲です。
生まれ年も同じ(私の方が学年が上といつも言われるのですが)
・なので意図とか、あまり会話をいっぱい重ねなくてもだいたい分かります(ガミラスへの思い入れとか:国歌をつくったと聞いて「やっぱりね」とか)。
・最初のヤマトは39話だった時期もあるし、短縮後も21~26話あたりの決戦プランは本当にいろんなアイデアが出ていました。そんなネタも、制作現場が解散するときに捨てるものはみんな「こちらで保存します」といただいて、35年前にずいぶんでそのことを話したりしました。
・また、ヤマトは当時としてはずば抜けたところがたくさんあるにしても、まだまだ時代的に、おかしなことともあるわけです。「こうすればもっとよくなるのになあ」とか「あれは間違いじゃない、本当はこうなんだ!」と、愛ゆえの妄想でふくらますことも、若かったこともあって、ずいぶんやった記憶があります。
・出渕さんとだけでなく、みんなでそうやって盛り上がっていたような時代でした。つまり作品化されたヤマトではなく、もうひとつのファンが夢見たヤマトがあったに近いんですね。
・なので、「ああ、あれが実作でこうなるのか」的な感慨があります。
・という作品であれば、特に「新旧をつなぐ」という観点で、自分にしかできないことも、たくさんあるだろうと。
こう書くと二次創作的に矮小化されて聞こえるかもしれませんが、もちろんこれだけではないです。
最初のヤマトを一回、具材のレベルまで還元して、しかも前の鍋に入れられなかった具材も入れつつ、35年の間に出た新具材も入れて、もう一回、最新の調理技術で仕上げた最上の料理だと。具材や味付けはけっこう変わって見えるかもしれないけど、これはまさにヤマトという料理なんだと。そんな感じがしました。
だから、違いは違いとして「こう来ましたか」的に、そこも楽しんでいただけたらなあと思います。同じだったり違っていたり、いろんな中から立ち上ってくる最終的なスケールの大きいひとつの「絵」みたいなものの味わいが、この新しい料理のゴールなんでしょうね。
奇しくも私は「宇宙戦艦ヤマト」第1話はテレビではなく16mmの大スクリーンで観たわけですが(第2回日本SFショー)、昨夜のイベント上映は、そのときの宇宙空間に飲み込まれるような体感を再現させてくれました。やはり、ヤマトは大画面、大音量で楽しむものなのですね。その意味でも、最新の映像環境にジャストフィットした2012年の新作なんだと思いました。
4月からのイベント上映に、ぜひとも足を運んでいただきたいと思っています。
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