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2011年4月29日 (金)

「ガンダム」の家族論 富野 由悠季 (著)

構成でクレジットされている藤津亮太氏から献本いただき、興味深く読みました。
語り起こしに大幅加筆するタイプの本だと思いますが、「である」調で論旨がシャープにまとまっているため、サクサクと読めますし、非常に腑に落ちることも多いです。タイトルがタイトルなので、『機動戦士ガンダム』はもちろん『F91』から『ターンエー』までガンダムシリーズの中での家族の話ももちろん出てきます。アムロの母親とか、ランバ・ラルとハモンの話とか、おなじみのものもありますが、『海のトリトン』や『リーンの翼』あるいは『ブレンパワード』など富野アニメを縦横に例示があがっています。
アニメの話というせまいところではなく、人を支える根源のもの、その中での男女・家族の役割を語っている姿勢は、さすがだなと。特に監督ご自身の娘さん二人、子育ての話を『伝説巨神イデオン』に絡めて語られたのは、私の記憶では初ではないかと思うので、Blu-rayがリリースされたいま、タイムリーとも思えます。
タイムリーと言えば、3.11の東関東大震災の話題が組み込まれているのも驚きです。発売は4月15日なので、ギリギリで差し替えたと思いますが、ムリヤリ突っこんだのではなく、前後とつながっているのも、未来を見つめた根源的な、監督がよく言われる「原理原則の話」が書かれているからでしょう。そういう意味でも、ガンダムが話題だからということを越えて、長く読まれる本になったのではないかと。文中では「ガンダム世代」という単語への狭隘さにも苦言が呈されてますしね。
というわけで、ガンダムや富野アニメに興味のある方はもちろんのこと、広く読まれてほしい本だと思います。

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