片渕須直監督「BLACK LAGOON」も破格の廉価版に!
同じジェネオン・ユニバーサルの廉価版シリーズですが、こちらも『マイマイ新子と千年の魔法』、奇跡のロングランの記憶も新しい片渕須直監督の代表作が、ありえないお得なお値段でリリースです。
これは日本の商社マンがあるきっかけでタイで海賊もする運び屋の一員になってしまうという、広江礼威原作のブラックユーモアと銃弾と鮮血に充ちたアクションもの。設定やビジュアルなどを見ると「マイマイ新子」と対局にあるようにも見えるんですが、実はやはり同じクリエイターの作品なんだなと、しみじみ分かる部分が多く。
よく笑いをとるために、「都会ぐらしのひよわなキャラが、突然、自然に満ちあふれた野性味あふれるところに来て、初めて目にするような、荒っぽい事件に触れていくうちに、いつしかなじんでいって、あいつもやるねと一目おかれる話」というとこは、マイマイ新子もブララグも同じ、なんて言ってるわけですが。それだけではないんですよね。
初期にあるUボートの話など、50年以上も前、たしかにそこにあった惨劇と人間性と、いま起きていることが交錯していく感じ。あるいは有名な双子編で描かれている、彼らのルールと我らのルールのせめぎ合い。最終的に、我らのルールが彼らの生存を否定してしまうわけですが、こちらが正しいというわけではないという視座がきちんと、苦み混じりでおかれている。
もちろん両作品とも原作ものなので、すべてが片渕監督のものというわけではないですが、それにしてもアニメのような色味からしてパキッと割らないと伝わりにくい媒体で、こうした慎重な手業で、複数の価値観を多層につんでいくということ、それを混乱させずに「あまねく」描くみたいな、そうしたアプローチにはしびれるばかりです。
あと片渕監督はミリタリー系にもすばらしく造詣が深いのですが、そっち方面のアプローチや、ベトナムなどの海外ロケの「マイマイ新子」と同等のアプローチも存分に活かされ、すごみを獲得してます。でも、けっこう笑えるエピソードが多くて、それもいいんですよね。
ということで、これまたBlu-rayで買い直したばかりなので、Blu-ray1枚3話(巻によっては2話)分のお値段に千円札つけると12話分買えるという値づけには正直、涙目ですが(苦笑)、いえ、後悔してませんよ。Blu-rayはBlu-rayで、あの素晴らしい南の海の色味や、高温多湿の空気感がくっくき出て、楽しめましたから。
ともかく、「話は聞いたことがあるけど、そんなにすごいの?」的に思ってる方には、絶対にオススメです。
あちこちで引き合いに出してたので、「興味を覚えたけど、買うのはちょっと」と思ってる方に推薦できる商品ができて嬉しいです。
あ、ただし、小さいお子さんには絶対にオススメできません(笑)。オトナ向けです。
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