宇宙世紀の歴史が動いた
重なるときは重なるもので、ここのところ本編放送に添付のミニ番組にばかり出ているようですが(笑)。NHK-BS2「ガンダム宇宙世紀大全」の方の、「宇宙世紀の歴史が動いた」が割と評判良いようで、安心しました。つまりNHKらしいパロディで笑えたという意味ですが、主に歴史番組を担当されている内藤アナウンサーの力によるものです。ありがとうございます。
5夜の頭と終わりにあるので全10回で、ああいった体裁ではありますが、一応オチというか結論が用意されています。それは割とマジメに独自の論を張って、「宇宙世紀」を意味づけています。なので、どうか最後までお楽しみいただければと。原稿も自分で書いてるんで、あれもまた評論の変格ではあるんですよね。
それで、うっかりして紹介済みと思いこんでいたのですが、「サイド6在住の歴史学者リュースケ・ヒカワ」というのは、以下のムックに出てくるキャラクターです。
これは「20年目のザンボット3」でデザインを担当してくれた盟友・古賀学さんのプロデュースによるメタフィクション的ムックで、サイド6から見たゼータガンダム論というものを、非常に興味深いアプローチで、フィギュアと写真の合成をフェイクにして、高度に「非現実と現実が混じり合った」内容になってます。
で、この本では、リュースケ・ヒカワ氏(苦笑)は巻頭言を依頼されたのですが。戦争を経て穏やかになった時代、サイド6リーアの宇宙港で書いたという雰囲気を出すために、その文章は実際にわざわざ羽田空港に出かけて、オープンスペースで、離発着する旅客機と同じ空気の中で執筆しています。そのことは強いて説明せずに、しれっとテキストだけ送信してみたんですが、雰囲気を察して「実際にサイド6にいるみたいでした!」なんて、古賀さんもリアクションを返してくるわけですよ。こういう「おぬしもなかなかやるのう」みたいなやりとりの感覚は、実に良かったですね。「達人は達人を知る」ってのは、確実にあるんですよ。それは私としても、ダカール襲撃がニュース映像みたいになってたりするムック全体の方向性にアテられてたわけですが。
そういう本だから、さらにこっちもやり返されるわけです。別冊の方だったと思うんですが、執筆者のプロフィール的図版が「線画」で掲載されてるんですね。その図版が、日本一の贋作師であるところのフンボルト氏の手によるもので、「ゼータガンダムのころに安彦さんが描いた《ような》キャラ表的図版に、飯塚文字《のようなもの》で名前を入れる」というコンセプトで、ひっくり返りましたよ。飯塚文字はめんどくさいから説明略だけど、本当に頭がさがるわけです。「どんだけガンダムが好きなんだよ!」とツッコミながら、こちらの目尻も下がるという、それはもうありがたいことです。
それで、ようやく肝心な話。その図版に描かれている衣装が、「BSアニメ夜話」でスタイリストさんがつくようになった最初の回の衣装なんですね。はい、もうお気づきのこととは思いますが、わざわざそのときの衣装に合わせて「宇宙世紀の歴史が動いた」に出ています。
どれだけの人が気づくことかは分からないですが。
リアリティってのはさ、こういうことの積み重ねで出るんだよ!
というのは、声を大にして言いたいことです。だって、それがガンダム流。ファンにも視聴者にも観客にもできるガンダム流。
そんなことをしてるとは気づかなくても、なんかが確実に伝わるんですよね。そのリアクションを返してくださった方々にも感謝です。そして、そういう連鎖の中にいられる自分も、なんだか嬉しくありがたいことです。生き甲斐と言ってもいいです。さらに、こうしたシャレにブレーキをかけず、分かっていただけたNHKさんには、本当に感謝感激です。
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