ANIME STUDIO (アニメスタジオ)
これはちょっと面白そう。知人が紹介していたんですが、アガヅマというメーカーの玩具です。
http://www.agatsuma.co.jp/animestudio/animestudio.html
「アニメの撮影台」をオモチャにするという発想が、まず愉快です。基本は立体物で、この台の上にちっちゃいセットと背景を乗せてカメラスタンドをいろいろいじりながら、カメラアングルを決めていく。この手のカメラは広角から魚眼っぽい画角なので、サンプル動画でも妙に遠近感がある映像になってます。1GBまでのSDカードに対応していて、TVに映し出すだけじゃなくて、ユーティリティで動画にもできるようです。
それで、amazonを調べたら思わず笑ったんですが、いっしょに買ってるものリストって、海洋堂の稼働関節人形のリボルテックが非常に多いんですよね~。こりゃニコ動とかで、リボルテック動画作品がブームになる前兆かな? とも。
まあ、基本的にオモチャとはいえ、オモチャの気軽さがいいんですよ。これなら絵を描けなくても動く楽しさが実感できるかもしれない。そうやって「アニメを作ること」へのカベが、これからどんどん低くなってほしいですね。
だってアニメは面白いし楽しいんだもん。
どうして文句から入る人が多いのか、わけが分からないですよ。
任天堂も「動くメモ帳」という無償アプリをDSi用に出しています。敬愛するアニメーターの小田部羊一さん(もと任天堂勤務)が社長からインタビュー受けてて、はじめて詳細を知ったわけですが。はてなと連動して、サイトに見せっこできるわけです。
http://touch-ds.jp/dsi/interview/8_1.html
小田部さんもサンプルをUPされてて、「うわっ、もう来たのか」という気分になりました。
何が「来た」かと言えば、この4年ぐらいですかね。吉祥寺のイベントなどでアマチュアのアニメに触れる機会が多くなり、これはパラダイムシフトだと思うようになったんです。つまり、これまではアマチュアアニメって若者のためのものが多く、学生さんがアニメ研などサークルで通過するものっぽい。もちろんそうでない作家さんも大勢いるんですが、機材やら手軽さやらで、ある種の「勇者の経験値」が必要だった。
しかし、アニメの面白さ・楽しさって、基本は教科書ページの片隅、パラパラ漫画みたいなものなわけです。その気軽さ、手軽さを実現するツールが出てくれば、これはブレイクスルーになると。
つまりシニアによる自主制作アニメという、前人未踏の趣味の可能性があるんだということです。
たとえば和歌で文字という記号の組み合わせで日々の気持ちを詠んだりするのって、和歌というシステムというかルールが確立して「道」になってるわけですが。もともとは、日常の中のゆらぎを落とし込んだのが表現になったわけで。じゃあ、なんでアニメの映像の組み合わせでそういうものがないかと言えば、和歌ほど簡単じゃないからなだけじゃないかと。
私も50代になり、会社に勤務していれば定年が見える歳になってきたわけですが、たそがれてるわけじゃなくて、むしろワクワクしています。だって、ちょうど「オレたちアニメ第一世代のためにありがとう」みたいな、こんなオモチャがいっぱい出てきてるんですよ。こんなエキサイティングなことってないですよ。
たぶん、オレらの世代が一番うまく使いこなせるんですよ。だって、アニメの楽しさ・面白さを、観る面・作る面の両方から存分に知ってるわけでしょ。だけど、ツールの未整備から作る方は簡単じゃなく、あるフラストレーションを抱えてた。そのカベがつるっと超えられたようなもんですからね。しかも人生経験の蓄積だってあるわけだし。今ならできる、やりたいみたいなテーマはそれこそたくさんある。
ってな世代が、今現在はまだ働いてて時間に乏しいですが、お子さんのいる家庭でもそろそろ独立かみたいな感じでしょ。趣味としてのアニメ、シニア向けの茶道・華道・ダンスとかその手のカルチャーの中にアニメがない理由は、「過去こういう状況がなかったから」だけで、どんな趣味にも「最初」があったように、今がアニメにとって「最初」なんです。
アニメは本当に面白い。観るのが面白いのは言うに及ばず、作るのも楽しい。作って楽しい気分を抱えつつ、また作品を観ると、絶対に前より面白くなるはずなんですね。そういう時代に、ある種の底辺を開拓するものとして、こうしたツールが「こりゃ案外いいぞ」みたいに普及することを願ってます。
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