機動戦士Zガンダム メモリアルボックス Part.I
ブルーレイ版『機動戦士Zガンダム』。ようやく発売になります。
今回の解説書はオーソドックスなもので、メインは藤津亮太氏の構成。こちらはストーリー解説、コラムなどの分担です。
2001年のDVD、2005年の新訳劇場版と、『Zガンダム』についてはもろもろやってきたこともあり、今回、新規の取材は特にしていません。そのかわり初収録
のネタとして、
●安彦良和さんのキャラクター原案(ラフ稿)
がカラーで収録されています。マーカーで軽く着色されたカラー画稿で、前々からその存在は聞いていたのですが見たことはなく、興奮しました。ハマーン、シロッコまで初期段階に設定されていることも分かります。
映像や内容については、すでに店頭ではデモ映像が流れていますが、まずマスタリング技術の進歩で16mm原版にも関わらず、すさまじい高画質となっています。特に色味がセル画そのものになっているのに自分的には感激。
従来、ゼータと言えばなぜかくすんでいるという印象がありました。茶渋色、ベージュ色を上から軽く乗せたような色味で、黒の側の階調表現がシメられていたと思います。劇場版の旧作部もそんな感じでした。
ところが雑誌などに掲載されるセル画の色味って、ちょっと違うんです。もっともっと鮮やかなんです。特に機体のゼータガンダムの胸って群青色っぽいものではなく、けっこう抜けるような鮮やかな透明感のあるコバルトブルーです。
毎度毎度、ガンダムの胸の色の再現にばかりこだわってるようですが(苦笑)。まあそれがやはり自分のイメージどおりの色になってうれしかったんですよ。
歴代ガンダムは白にしても、それぞれ色味が違うんですが(RX-78はグリーンホワイトの一番明るい色とか)、その差も良くでていると思います。ゼータは少し紫っぽい。その絶妙な色合いになってます。
あとブルーレイの特徴として暗部の再現性が向上しているので、非常にいいです。ティターンズカラーのMK-IIとかサイコ・ガンダムとか、黒系のMSも「ここまで描きこんでたんだ」と良く見えます。設定上もゼータからMSの線が思いきり増えてるんですが、作画のアドリブで現場でもどんどん増やしているんですよね。それは模型雑誌とかの作例に負けまいとした当時の現場の空気なんでしょうね。
あとバーニアスラスターの細かい噴射による機体移動とか、さらに良く見えるようになりました。設定に線が増えた理由のひとつに、ノズルをきちんと配したことがあるわけで。それがより良く見える。
色味の気持ち良さ、ディテールは後半アイキャッチのコロニーの絶妙な緑色とか、エンディングでファが走り抜けると宇宙に鮮やかなガス色がついてるとか、初期オープニングでMk-IIが加速すると、背中のブラシの上に発光する粒子が青白い透過光で重なっているとか、「あれ?こんなんだったのか」という発見もいろいろあって楽しいです。
画質が変わっても内容的に変わるわけはないんですが、それでも妙に印象が変わって感じられる。特に前にTV版を見返した8年くらい前とのひとつ大きな違いは、やっぱり「新訳」が間にあったからでしょうね。
あれで見晴らしが良くなったというか。戦いの流れの中で誰が何を考えてどう動いているのか、今さらですがさらにまた見えるようになってきた。改めて「へえ」と思うところが多かったです。
もちろんこの作品なので、イヤな気分になるところか、「どうしてこうなっちゃうのかな……」的な気分が変わるわけではないんですけど、こちらのキャパシティ(容量)が変わったということなんでしょうね。
もうひとつ、この7~8年の間に、みんながゼータのことをどう思ってるかが良く分かりました(笑)。案外、当時オレが思ったことは異端じゃないじゃん、ということを了解しつつも、「なるほど、それでもそこがいいんだ」みたいな。受信アンテナに感度のたつとこが増えたという感じのことなのでしょう。
シャアが頭抱えちゃうとことか、前は「やめてくれー」だったんですが、今回、妙に許せちゃったりした。おそらくそのせいでしょうか(笑)。
まあ正直、23年も前のフィルムですから、鮮明になって「ありゃ」みたいなとこも少なくないですが(背景の折り目やセル傷が見えちゃうとか)。妙に感慨深く観られたという不思議な感じです。
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