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2008年12月10日 (水)

BSアニメ夜話 Vol.9 時をかける少女

NHK BS2「BSアニメ夜話」の書籍化もついに9冊目です。これはちょうど新作「サマーウォーズ」も発表になった細田守監督の「時をかける少女」の回で、四国は香川県の高松で収録。原作者の筒井康隆先生も出演という豪華なものになりました。加藤夏希さんとはこれが初だったのか、ちょっと緊張したような記憶があります。
この書籍化は番組でカットされたところが(ほぼ)完全再現されているのが大きな売りになっています。それで前の『鋼の錬金術師』のときもそうだったんですが、こういう公開収録のときって、スタジオのときよりかなり長く回してるんですね。現場で感動した筒井先生の「なぜカラオケのシーンを選んだか」という理由が再録されました。そこが必読です。

今回、あらためて見てみると「アニメマエストロ」の「影なし作画」の解説って、大前提の解説が放送だとすっぽり落ちてるんですよ(笑)。まあしょうがないんですが。テーブルの上に球が乗っているという前提で、アニメにおけるアウトライン(フォルム)とカゲ(マッス)がどういう関係にあるかを説明してます。いや「フォルムとマッス」という言葉は使ってませんが。実体がどう「線と塗り分け」で表現されているか、自分なりに整理したものです。
この図解は私が打ち合わせのときに、その場の思いつきでノートにラフを描き、スタッフに説明したものがベースになってます。教科書などの引き写しではありません。似たような絵があるかもしれないので、オリジナルと主張はしませんが、そういうわけでこれをそのまま引用すると、すぐ分かるという仕掛けになってます(笑)。いや、出典明記していただければ積極的に引用して欲しいくらいではあるのですが。

ともあれ、アニメーションの立体感とか質感とか、それが重層的になって実感に昇華していくということは、これはもう根幹ですから。どれだけ言葉を重ねて語っても、語り尽くせないものがあると思います。であるのに、いきなり「動きがいい」とか「作画がすばらしい」というとこに途中をぬいてすっ飛んでいったり、「カゲがないのは手抜きだ」とかいう激しい誤解があったり。やっぱり「語る言葉」が足りないんだと思うんですよね。ちなみにディズニーのフルアニメーションは基本的にカゲがありません。
まあ、そういうことに何か寄与できるといいかなあと。

番組で抜かした話としては、柔らかさの描写の説明に、「スカッシュ&ストレッチ」(ツブシとノバシ)の図があったかと思いますが、スペース的に入りませんでした。あと打ち合わせ時に気づいたんですが、自転車とかモップとかビーカーとか、カゲなし人物の触る「無生物で動くもの」にはカゲがあったりするんですよね。それと100%のカゲなしではなく、人物にも何カ所かカゲがついていたり、木漏れ日を表現したり、あるいは全体がカゲ(塗りの落とし)になったところもあります。気になった方はブルーレイででも研究してください(笑)。こないだあるリストを見たら、ブルーレイの年間売上げのベスト5か6に「時かけ」が入ってましたよ。私も切り出しフィルムがついているうちに、あわててゲットしました。

あとムック本の方では寄稿として「時かけ」とジュブナイルSFの関係について語ってます。
角川アニメの歴史という話もあったんですが、「幻魔大戦」とか往年の角川アニメとはちょっと違う気がしつつ、ただまったく違うわけでもないのはなぜだろう、みたいなことですね。作品論は論客がトークと追加取材でやってますし、自分でも何度か書いたから、そういう内容になりました。

まあこれで『時をかける少女』も一段落という気分です。とにもかくにも『サマーウォーズ』が楽しみです。

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