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2008年11月 9日 (日)

家庭用シネラマきたる!

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ビデオグラムへのワイドスクリーン映画の収録方法は昔から問題でして、一番最初は4:3にトリミングされていたわけです。これもセンタートリミングという一括の手法からPAN&SCANという監督や撮影技師立ち会いのもとに新たな構図を決めるという、2種があったんですが。
近年ではLB(レターボックス)という上下に黒味の入った方法が主流になってます。これはアメリカの郵便受けの入り口がこんな感じに見えるからというわけですが(左図)。
もうひとつ「スマイルボックス」という収録方法が出ました(右図)。こんな風に湾曲してるわけですが、たぶんこれが「ニッコリ目」に見えるからスマイリーなんでしょうね。そういえば子どものころ(1960年代)は「映画」というアイコンはこんな風に上下が湾曲していたんですよ。特に超大型画面のシネラマたるや……。
というんで、その収録ソフトのお話。

つい出来心で前から欲しかったこの「西部開拓史」のBDをゲット。これは、ジャイアントスクリーンの歴史とブルーレイという個人的テーマの一環でもあるわけですが。
この映画って有名な純粋シネラマ作品、つまり3本のフィルムを併走させて超ワイドスクリーンを得るという数少ない例の最後の作品(アカデミー賞3部門受賞)で、2.89:1とかいうとん でもない比率なわけです(通常のスコープは2.35:1)。

※シネラマの解説は、このサイトが分かりやすいかも。
http://home.n08.itscom.net/kei/screenformat2.html

DVD版を1500円で買ったら、3カ所の色味がぱっきり割れていて爆笑して、そのまましま い込んじゃったわけですな。で、今回その思い出を念頭におきつつ、ふと手にとってみると「2枚組:DISC2はシネラマの湾曲したスクリーンを再現したスペシャル・スマイルボックス方式」とあるわけですよ!

なにっ! ってなもんですね。

2000年夏にシアトルに行ったときにも、通りすがりでシネラマのロゴつき映画館を発見して、絶対に行こう!と思ってたんですが、行き損なった苦い思い出があったり。今でもアメリカで2カ所か3カ所、シネラマの映画館が残っているはずですが。行けるかどうかも分からないし。あの湾曲スクリーンにももうお目にかかれないのかなーとか思ってたんで、ちょっと嬉しい。

湾曲版の方は、なんか「金田パース」みたいになっているのが爆笑です(画像は以下のレビューサイトを参照)。

http://www.dvdbeaver.com/film2/DVDReviews40/how_the_west_was_won_blu-ray.htm

タテ移動の妙に多い映画で、馬車が移動したりすると、えらい迫力でフレームアウ トしたりすんですよ。左右になんか必ず立っているのは、そうか、やっぱりこう湾曲して見える構図の意図なのかと分かったりで。
※これはアメリカに映画留学中の堺三保さんから指摘がありましたが、3台のカメラの接合部には目印として木とか街灯とかが置いてあるのが常で、それは役者がうっかりそこに立つと顔が割れたりするんで、その目印かねて置いてあるのだそうです。気になっちゃいますよね(苦笑)。

そもそもワイドスクリーン映画というのは、テレビへの対抗もあって、人間の目がヨコについてるから左右に拡げると視界も広がるという理屈なんです。しかし、実際に人間の視界はセンターには歪みがないものの、左右に行くに従って湾曲(ディストーション)があるとされていて、このスマイルボックスっぽい方が認識に近いらしいんですね。なので、けっこうこの画角で観てるだけで、フラットよりも妙な没入感があったのでした。
しかもブルーレイの高密度化で、情報が増えることでそれが余計に感じられる。
そもそもこの映画はドラマとしては退屈で、西部の荒々しく、またみずみずしい自然の風景とワイルドさが体感するのが主眼なのです。
思って た以上に嬉しい映像特典でした。
映画というのは視点(パースペクティブ)を与えるのが目的という、そうした話がより実感をもって体験できました。

結局、私は純粋シネラマ映画って観損なってると思うんですよね。もしかしたら親が連れてってくれたのかもしれないけど。というのは、一応テアトル東京でスダレになったスクリーンは観たことがあって、それにデジャブがあったんです。姫路か大阪でシネラマ観たのかな? 「2001年」のリバイバルもテアトル東京で観てるんだけど、3本分離じゃなかった気がするんですよね。「帝国の逆襲」で雪原に倒れたルークに、 オビワン・ケノビの亡霊が現れるとき、めちゃくちゃ湾曲してたので、せっかくの名場面がギャグになったのはよく覚えてるんですが。
そうそう、3本分離はさすがにデジタル技術の進歩で、BDではしっかりと境目が分からなく補正されてました。たまになんか怪しいけど(笑)、ま あ仕方ないでしょう。まさか家庭でシネラマが疑似体験できるとは、良い時代になったもんです。これ、プロジェクターだともっと疑似体験できるだろうなあ。

※補正の技術にも最新技術が導入されてます。詳しくは以下のサイトを。ここに掲載されてる写真だと補正前の色味が良くなくなってますが、実際の製品の色味は大丈夫です。

http://h50146.www5.hp.com/info/enewsletter/060615/onmove/

ということで、シネラマに興味のある方は必携ソフトですね。

補足その1:毎度お世話になってる大口さんのサイト。
このページのラストに「これがシネラマだ」(This Is Cinerama, 1952年)が載ってます。
http://www.tcat.ne.jp/~oguchi/Wide%20&%20Giant%20%20Screen%2019c-1953.html
「西部開拓史」(1962年)はこの方式の最終作品だそうですね。10年しかもたなかったのか……。

補足その2:「2001年」のシネラマ版には異同があるという指摘も……。この時期のシネラマは3本撮影ではないです。そもそも3台のカメラをヨコに並べた時点で光軸が違っちゃうので、パースも違ってきて、精密につながるわけがないんですよね……。
http://k-hiura.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/2001_02bb.html

補足その3:1987年の在米時はアリゾナ州フェニックスに七ヶ月住んでましたし、90年代末には何度もテキサス州ダラスに行ったので、風景自体が懐かしいという個人的事情もあったりします……。

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