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2008年7月

2008年7月30日 (水)

高橋良輔監督連載開始【「自分は敗者」という泥沼からどう復活するか】

日経ビジネスオンライン 高橋良輔監督連載

【今日から始める「敗者復活」~"アンチ天才"のボトムズ流仕事術・2】
1:「負け感」からの出発

http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_25814_488344_127

 友人でもあるライター渡辺由美子さんのお仕事です。なかなか興味深い話題で、良い記事だと思います。
 しばらく前から「勝ち組」「負け組」みたいな妙な言葉が気になっていました。ここに来て「格差社会」とか「ワーキングプア」とか、またさらに不穏なアオリが出てしまい、なんだかなあと思うところも多いですが。
 そういう漠然とのしかかってくる不安感というのは、体制側からの心理的支配に直結しているので非常に危険なんですけど。まあ、そうしたことからどうやって逃れるかという話でもあり。アニメでも多くの作品が、そうしたことを物語化してると思います。
 というんで、ボトムズ好きの方のみならず、なんとなくわき上がる「負け感」の正体を見たい方は、ぜひ読んでください。なおこの記事はパート2でして、パート1もすごく好評だったそうです。回りが天才と感じられる高い能力の人ばかりだったとき、どう処するかという話は、私も別件の流れの中で高橋監督から直接にうかがったことがありますが、面白いですよ。合わせてどうぞ。

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2008年7月25日 (金)

日本アニメの今

 フランスニュースダイジェスト編集部からの依頼で、「日本アニメの今」という文章を書かせていただきました。ジャパンエキスポに絡んでの記事ということで、概況中の概況に絞りこんでいます。それと、短い文章ではありましたが、客観的な事実とともに、ある種の「願い」を織り込むようにしました。それは「日本のアニメが世界で大人気だそうですね!」という話をされて、いつも密やかに感じる違和感、ギャップの解消への想いでもあります。

 フランス語に翻訳されることを前提の構文にするよう気をつけましたが、翻訳者には旧知でもあるイラン・グェンさんという素晴らしい方に恵まれ、編集者氏によれば翻訳も素晴らしい出来だそうです(ダイレクトには分からないのが恐縮です)。本当にありがたいことだと思っております。

 フランスは、前職でニースへ国際会議に2度行っただけですが、現在アニマックスの「Aニュース」でもフランスのジリ・ヴァンソンさんと共演させていただいていることもあり、なんだか非常に関心が高まってるとこです。また何かご縁があれば良いですね。
原文
http://www.newsdigest.fr/newsfr/content/view/1551/38/
フランス語訳文
http://www.japandigest.fr/japandigest/content/view/1/11/

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2008年7月23日 (水)

「進化R25」で「未来少年コナン」

 リクルートの情報マガジン「進化R25」(フリー)で取材を受け、『未来少年コナン』(宮崎駿監督の事実上の監督デビュー作品にして、唯一の全話監督TVシリーズ)についてコメントしました。数行の記事ですが、フリーなので見かけたら、ぜひ。

 『コナン』は放送直前、日本アニメにうかがって宮崎駿監督に取材をしてお話をいただきました。雑誌「ランデヴー」(みのり書房)に掲載されてますが、アニメ系雑誌で活字になったものとしては最初期ではないかと思います。
 その時に宮崎さんからは「滅亡した未来でチャールトン・ヘストンみたいな屈強な大人が何とかして生きていくような映画もありますが、それは僕はウソだと思ってます。むしろ滅亡した未来を新しい自然と受け入れて、たくましく生きていく子どもを描きたい」という意味の話を聞かせていただきました。そこの部分が記事にも使われています。
 最新作『崖の上のポニョ』でも後半に水没都市が出てきますが、『コナン』は全世界水没みたいな話です(笑)。それに抗う大人と受け入れる子どもに対立軸があって、大人の方が変わっていくみたいなとこがあるわけですが、ということを念頭に置くと『ポニョ』でも本質はそんなに変わっていないんですね。

 その後、キングレコードで仕事を始めるきっかけにもなった作品でもあります。音楽集はそのときのテープを完全収録してCDで再リリースされてます(腹巻猫さんと共同構成)。DVDの方も廉価版が出ました。

 

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2008年7月14日 (月)

大スクリーンの『攻殻機動隊2.0』は必見!

『スカイ・クロラ』の公開に合わせて緊急で決まった押井守監督のリニューアル作です。劇場用パンフレットに寄稿しました。この13年間のアニメ制作における環境変化と今回のリニューアルの意味のようなことを書いてます。
具体的にどう変わったかは、以下のサイトなどをご参照ください。

http://eiga.com/buzz/20080609/2

それで初号試写も拝見したんですが、新宿まで出かけて拝見しました。
ミラノ2(500人クラス)から急遽、2日目にしてミラノ1(1000人クラス)にパワーアップした上映。何の映画と差し変わったかと言えば、同じタツノコの血が入った『スピード・レーサー』。しかもその監督は押井版『攻殻機動隊』にインスパイアされて『マトリックス』を撮ったウォシャウスキー兄弟というんですから、濃い因縁です。
(ちなみに『スピード・レーサー』はメチャ気に入りましたが、興業が厳しいのは何となく分かるという点でも微妙な気分)。

パンフ用の確認映像、初号試写も見てきたわけですから、正直言って追加確認程度の気分だったんですが、驚くべきことに映画の印象がぜんぜん違いました。劇場を7割方埋める観客(しかも若い)も良かったけど、あのハコにして思い知った映画のパワーというものが確実にありました。
上映の状態としては、映写距離のせいでむしろ暗めになってるんですが、それが良かったと思います。圧倒的にでっかくなったスクリーンで、ほの暗い映像を見つめる心情は、今はなき品川アイマックスの『イノセンス』のとき、生きながらにして幽冥境をさまよう経験をしたときの再現のようでもあり。
効果音、音楽とパワーアップしていることはもちろん、映像の色味と手触りを『イノセンス』寄りにしているせいで、連作としての意味性(あちこち対になってるとことか)もじんわりと染み出てきて、とにかく良かったです。
これまで気になって気になって気になって仕方がなかった(笑)3Dの混入も「あれ?」と拍子抜けするほど違和感なしでした。暗めになって、ディテール減ったせいか、それとも慣れたのか……。

これはやはり映画館で観ておくフィルムです。いま大スクリーンで観て、この光、この音、この空気感を体験しておいた方がいい映画です。こんなに感想が変わるとは思いませんでした。

それにしても、13年前にこの差し変わっていない部分の大半を手で描いてしまった人たち、やっぱすごすぎですよ。それも良かった。ちょっとしたメカ(多脚戦車)の挙動とかエレベーターの開閉とか、どんなにCGっぽく見えても手描きですからね。そういった、もう二度とは帰らない一種の頂点を確かめるという思いもありました。
そして、最後にその寂寞の念を断ち切るかのような、あのラストシーンのめくるめく3D都市の全景、その圧倒的な空間ボリューム。そこに見え隠れする官能は、間違いなく押井監督の次回作への意欲そのものだと思いました。

これと「スカイ・クロラ」、「ポニョ」をほぼ同時に体感できるなんて、今年の夏はすごいなと思ってるところです。

P.S.先日の押井守BOXの件ですが、「P1」「P2」「攻殻」のDVDマスターは旧版というか、最初のDVDのものでした。BDと共通のものかもしれないと、惑わすような発言があったことをお詫びします。その分、「P1」「P2」には5.1chの他に2.0chのオリジナル音声が入ってますし、「攻殻」には特別番組が収録されてるので、ご容赦を(要するに一長一短なので……)。

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2008年7月 8日 (火)

出渕裕画業30周年記念画集

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amazonで品切れの時期があって紹介をためらってましたが、今夜は復活してるのでご紹介です。ようやく出ました。編集の中島紳介さん入魂の30周年記念画集です。

ココログの写真貼り付けがイマイチうまく行かないのですが(苦笑)。

・箱、でかいです。たぶんB4サイズ。そして重い。

・中を開けると、直筆サインがお出迎え。そしてインタビューDVD(池田憲章さんによる)。さらに、「ルーンマスカー」復活を知らせる小冊子が!

・画集は2冊組みです。片方はイラスト集、もう片方はデザイン仕事がメインになっています。ただし、完全にどっちがどっちと分離しているわけではありません。デザイン集は、かなり珍しいものも含まれてます。私も知らないものが多かった。

・画集に添えた言葉は富野由悠季監督のもの。なかなかすごいです(笑)。

・氷川は書き下ろし総論を担当。あと「トライダーG7」のときのインタビュー、そして目玉は「ラーゼフォン」のときの押井守監督・出渕裕監督の再録! と、テキスト提供をしました。編集で名前出てますが、特に何もしてないです。

そういうわけで、限定品なのでこれを逃さないよう、お早めに。ふたたび品切れになっていたら恐縮です。

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