作画には定評のあるボンズの最新劇場映画が明日から公開です。
戦国の世に名を捨て抜刀を封じた浪人“名無し”と、明に仕えながらも充たされぬ思いを抱く金髪碧眼の剣士“羅狼(らろう)”。謎を秘めた少年“仔太郎”をめぐって、世俗から隔絶した二人の異邦人《ストレンヂア》が、宿命の激突へと向かう! 頼みとするは剣の腕のみ。斬って斬って斬りまくる、息をもつかせぬ日本刀アクションの連続。すさんだ世に、ふと結ばれる孤独な魂の輝き。実写では表現不可能な躍動感と繊細なドラマが、超絶のハイクオリティ映像で眼前に展開する!
主演の剣士“名無し”はTOKIOのメインボーカル長瀬智也が声優に初挑戦。仔太郎少年役はジャニーズJrの知念侑李、仔太郎を助ける僧・祥庵にはベテラン竹中直人と豪華メンバーが好演する。音楽は『海猿』、『ALWAYS 三丁目の夕日』など数々の映画を手がける佐藤直紀。2005年に大ヒットを記録した『劇場版鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』に続き、アニメスタジオ・ボンズが全精魂をこめて世に送り出す「男たちの《魂》に響く映画」。最大最強スケールの時代劇が、アニメーションの世界から出陣する!
★「無皇刃譚(むこうはだん)」とは?
上に立つ「王」を求めず、自らも「王」になろうとせず、ただ一途に己の「刃」だけに殉じた男たちがいた。これは王無き彼らの生きた証「刃」を語る「譚(物語)」である。
……というのは氷川がチラシ用に書いた文面ですが、まさにこの通りの映画です。冒頭5分はネットでも無料公開されたことがありますが、そこからもう怒濤のアクション展開。安藤真裕監督はアニメーター、演出家として高名で、とにかく動かして男の生きざまを剣に託して描くということに絞りきっているので、贅肉ゼロ。恐るべき密度感というか、まさに日本刀のような鋭さをもった感動作に仕上がってます。クライマックスの原画担当は、「BSアニメ夜話」の『鋼の錬金術師』の巻でも取りあげた中村豊氏。他にも伊藤秀次、金子秀一、伊藤嘉之、富岡隆司、水畑健二各氏を筆頭に、そうそうたるメンバーが参加。しかも大きなシーン単位で作画を担当しているので、ガツンとくる固まり感があって、非常に見ごたえたっぷりな作品となってます。
注目すべきは『ガンダム0080』『WXIII機動警察パトレイバー』などの監督でおなじみ高山文彦氏のシナリオ。これがまた、台詞や描写にまったく無駄のない恐るべき完成度なんですね。詳しいことはまだ言えませんが、ほんのささいな会話が後で重大な意味を持ってくるという部分が多く、何度見てもその映画的な仕掛けの巧妙さに驚きの発見があります。
アニメーター、脚本家になりたいとか興味をお持ちの方は必見でしょう。
氷川は本作では「オフィシャルライター」としてクレジットされています。具体的にはチラシ、プレスシートなど公式文書になるものを作成。前々からそういう仕事はしてましたが、表記されることはありがたく感じてます。ラッシュ段階でけっこうぐっと来るものを感じたので、気合い入れて作文したという記憶があります。
他には角川書店さん編集の劇場用パンフレットをお手伝いしました。「プロダクションノート」「安藤真裕監督×高山文彦対談」それから映画評として「華麗なる剣戟の秘密 アニメーション・イリュージョン」という題名で、原画を駆使してチャンバラアクションの魅力を解析してます。
こないだの『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』で2万2千文字の原稿を執筆し、「こんなにパンフに文字書くこともそうそうないだろう」と思ってたんですが、『ストレンヂア』もパンフのみ全部加算したら1万7千文字も書いてました。ページ構成もやってますから、作業量あんまり変わらないじゃん!(苦笑)
『ストレンヂア』パンフに関しては他にもいろんな方が映画評を書いてますし、ストーリー紹介やキャラ紹介もたくさん載っているはずで、ムック的密度感のあるものになってます。
映画がどんなもんかご興味のある方には、萩姫役の坂本真綾さんが進行をしている以下のお試しDVDも発売中です。