5日(日)に新宿ロフトプラスワンで行いました「氷川竜介30周年記念トーク」に多数のご来場いただき、まことにありがとうございました。あまり深く考えずに日時設定してしまったんですが(申し訳ないです)、日曜夜でコミケ直前ということにも関わらず、120名を超える来場数に感激しました。
以下、多くの方々に感謝いたします。
司会の小林治さん、メインゲストの出渕裕さん、証言者として壇上にあがっていただいたCONTINUEの林編集長、ペッパーショップ古賀学さん、アニメ評論家・藤津亮太さん、一瞬で会場から資料をもってきていただいた伊藤秀明さん、あとドクトルFさんもでしょうか。それから記録映像収録していただいたエモーションの桑島さん、撮影クルーのアンダーセル菊崎さん、野口さん、綺麗なお花を贈っていただいたスカイパーフェク TV!ガイド編集部の舘林さん、「ドラえもん祝電」(ぬいぐるみつき)という粋なものをいただいた矢的さん……。そして、イベントを多方面から支えていただいた、ロフトプラスワンのさいとうさん。
みなさん、本当にありがとうございました。
30名程度がマイミクさんだったはずで、来場リストを作っててお名前を列挙してたら著名な方が多くて目眩しましたが、「お忍び」だと思うのでいちいち実名上げません。が、お忙しい中、付き合っていただいてありがとうございます。
すいません、アガっていたのか若干記憶が曖昧で、お名前落ちていたら恐縮です。他意はありませんので、メールなどでこっそり教えていただければ改訂します。
内容は、まあ来ていただいた方のものなので、詳述はしません。っていうか、よく覚えてないんですね(苦笑)。もともと30年を3時間(実際には4時間)という無理は承知でしたが、肝心のところは伝えられたのかなあと思ってます。会場側から手応えのある瞬間がありまして、ご来場者には本当に感謝です。
奇しくもこのイベントの直前に、実は世の中には私ごときまだまだ未完成で未熟な人間に対しても、悪意だか敵意だかを抱いているということを公言してはばからない、そんな人がいるんだという事件を体験しました(「サイゾー」の記事のことです)。
あれあれ、アニメに関する言論ってそんなに整備されて成熟していたんですか、まだまだ量的にも質的にも発展途上だったと思うのですが……と、怒るとかそういうことよりも先に、主に戸惑いと哀しみ、一種の虚脱感を感じました。
まあそんなこともあったので、壇上でいろいろ話して検証しているうちに「なんだ30年前もいまも、やりたいことの根はまったく同じなんだ」と自分で非常に得心がいきました。まるでブレがない。あの時代だったからあの方法論、今の時代だからこの方法論。我ながら驚きました。怖くなるほどに。
そして、「あの時代の方法論」はいつしか業界のルーチンになってしまった。だから、それに乗っかっているだけの仕事は、メシの種だから否定はしないけど、自分のまいた種でもあるから、どこかしらに嫌悪感が潜んでいる。だからこそ、いま別の方法論を模索してる日々だということです。それは「仕事」としては面倒になるものですが、でもだからこそやらなければいけない気持ちも強い。
別に「ひょーろん」が書きたいわけじゃないんだってことですわね。大目的があったのを、ちょっと自分でも忘れかけてました。
大目的とは実に単純です。
・自分が観たいアニメをまた観るために、
いまできる最良のことをする
たったそれだけのことです。
ただし、これはものすごく時間のかかることです。一例をあげれば、「20年目のザンボット3」が出版されなかったら、その10年後の『天元突破グレンラガン』はおそらくあのスタイルの作風にならなかったはずです。いえ、「あの本のおかげだぞ」と言いたいわけではないんです。それはスタッフに失礼だし、もっともっと他のいろんな要素が入ってきてますから、あくまでも「触媒」に過ぎません。でも触媒なりの嬉しさがあるという話。
あの本で言いたかった価値観が汲み取られて作品化され、さらに先の目線が感じられる。その得も言われぬ発展的な「価値観の連鎖」がもたらす感動。またやめられなくなっちゃいました。そして、そういう幸福感の連鎖があるからこそ、いまの自分の「売文業」が成立しているんだとも、改めて確信を得ました。
ですので、私は先の大目的のためなら、「宣伝協力」だって「オフィシャルライター」だって何だってやります。うまく使ってもらわれる中で、その関係性をこちらが使い、また好きな類のアニメを観られるように働く。
今年の春から秋にかけて、「なんだってこれほどオレ好みの作品が多いんだ?」とか不審に思っていたわけですが、ひょっとして自分の放った価値観の万分の一かもしれない「もどり」かなと考えると、幸せでたまらなくなりました。この仕事を続けて、良かったです。
本当にイベント翌日から気合い入りました。日程的にはヤバイこともありましたが、やった甲斐があったので、支えてくださったみなさんに、あらためて感謝します。
イベントでも話しましたが、事実誤認関係の訂正だけ。
藤津亮太さんに関して氷川の「後継者」というのは明らかな間違いです。
自分にとって藤津さんの初対面時は「よく出来る週刊誌編集者」という、むしろ「業界の先輩」(氷川に長い休眠期間があるため)でした。藤津さんの「アニメ関係の記事も書きたい」という発言にワルノリしてアニメ方面に引きずりこんだのは確かに氷川ですが、藤津さんのブログに書かれているように、連名仕事が多かったのは「ニコイチ」というか「バロム・1」(ナカグロがあるんだよー(笑))みたいな合体パーツというか、上品に言えば「イーブン・パートナー」な時期があったのでした。
私から何か教えたことはまったくなくて、最初から「出来上がっていた」のです。失礼な話「あー、こりゃ便利で楽」と思ったことも数知れず。先方もそう考えてるらしいので、その点でも「イーブン」です。
ただ、この対等性はまことに得難いものでもあると実感もしているので、末永くよろしくお願いします。
●藤津亮太の「只今徐行運転中」
ということで、長々とすいませんでした。