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2007年7月

2007年7月27日 (金)

エヴァ&ナディア DVD-BOX

●新世紀エヴァンゲリオンDVD-BOX
NEON GENESIS EVANGELION DVD-BOX '07 EDITION

 新劇場版のパンフ作業をやっている関係で、8月1日発売の新しいDVD-BOXのサンプルを一足先にいただきました。
 まず、何と言っても先に言わなければいけないのは、

 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」の予告が収録

ということですね。さすがに私も「思いきったことするなー」と思ったんですが……。今日、最近通っている鍼灸院の鍼灸師さん(女性)に「アニメライターって、何書いてるんですか?」と聞かれたんで、「最近じゃ、エヴァンゲリオンの新しい映画のチラシの裏とか」と答えたら「えー、スゴイ! 私、いまDVD見返して予習してるんですよ!」なんてな会話があったんで、これは案外ジャストフィットな商品なのかもしれません。
 なんせ安いです。TVシリーズ全26話にリテイク版の4話分、さらに1997年の劇場版に加え、実写パート含めたすべての映像特典を収録。要するに、一番最初に出た5.1chのDVD-BOXの内容は全部入ってます。でも、解説書はまったくありません。あと進歩したのは、体積が激減してるところ。新規開発のトールサイズなんだけど薄型で2枚入るやつを使っているので、ものすごくコンパクトです。
 実は以前のDVD-BOX、自腹で買ったのはいいんですが、あれは妙な開き方をしてディスクの内容も異様にわかりにくくなっていて、それも含めて「エヴァっぽい」とこを目ざしてたのは実に良くわかるし、商品としても優れてると思うんですが。いざ資料として使おうとして「さて、14話をチェックしなきゃ」というと、実はぱっとアクセスできないという(笑)。今度は解説書がない代わりに、DISC内容一覧がつきました。
 しかしそれにしても、商品全体に場面写真が一枚もないというか、キャラの写真が皆無で肌色皆無、真っ赤っかな商品で、なんだか恐れ入りました。

●ふしぎの海のナディア DVD-BOX

 ついでと言っては何ですが、「庵野秀明監督祭り」の一貫で2001年に出た商品の再発売です。懐かしいですね。専業になってすぐの仕事で、異様に執念を燃やして取り組んだ記憶が残ってます。解説書の設定資料も一時期すべて「鉛筆原稿」が借用できたので、前田真宏さんの画稿を中心に、なんとカラーで掲載しています。これがけっこうきれいで、現場に配られたゼロックスの状態とは違う赴きがありましたね。
 他にもインタビューや用語事典など充実です。
 新規再発売されてもあまりやることがないので、上下巻で内容を割って、下巻の方に一部新企画を考えてます。
 あと今回の特徴は、LD-BOXの仕様に近づけているので、「ナディアおまけ劇場」が各ディスクの巻末についてます。DVD-BOXはまとめてだったし、ばら売りDVDはついてないですから、これは画期的。というのは、実は4話ずつ収録していたLDの、その板の内容にリンクした作品がいくつかあるので。同じ盤に入る仕様に戻って良かったなあと。
 下巻も取材は済んでいて、鋭意制作中です。現時点で発売済みの上巻も、まだアマゾンでは25%OFFのようですね。

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2007年7月24日 (火)

ゲゲゲの鬼太郎 劇場版DVD-BOX

 東映ビデオさんから、ご縁あってサンプルをいただきました。80年代と90年代の「鬼太郎」の劇場映画を一挙にまとめたBOXです。で、もちろんそれぞれ見ごたえのある超大作なのですが、今年のポイントとしては「細田守ファン必見?」というところでして……。

・細田守が原画マンとして参加した「ゲゲゲの鬼太郎 大海獣」(1996年7月公開)が収録(演出家試験と平行しての仕事)

・細田守が演出したCG映画「鬼太郎の幽霊電車」が映像特典に(ブックレットにはインタビュー)

という。今回はハードカバーのブックレットが添付し、データ原口さんたちの仕事が充実していて、なんと原画の香盤表(担当パートの表)が掲載されてますので、細田さんのお仕事もバッチリ特定。敬愛する荒木伸吾+姫野美智コンビはじめインタビュー満載、ほかにもイメージボードや原画がギッシリで、資料性が高いです。ディスクは全部で4枚。興味のある方は、ぜひ。

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氷川竜介デビュー30周年トーク

ロフトプラスワンで以下のトークイベントを行います。「早くも30年」というとたいていの人がのけぞるんですが(20代以下だと生まれていないことになる)、事実なので仕方ないです(笑)。自分の企画も実は初めてですので、お手柔らかに。自分語りというよりは、見てきたことを語るという趣旨ではありますが、あんまりマジメな話をしてもしょうがないので、たぶんダラダラと回想録を話すところにゲストがツッコミ、みたいな感じになるじゃないかと。コミケ前でお忙しいと思いますが、お時間のある方、よろしくお願いします。

●8月5日(日)
「氷川竜介デビュー30周年トーク」

1977年春、月刊OUT創刊2号「宇宙戦艦ヤマト特集号」からすべては変わり始めた!同誌でデビュー以来30年、アニメと特撮文化をマスコミ、レコードメーカーの観点から見てきた氷川竜介が、その変遷を語る
【出演】氷川竜介
【Guest】出渕裕、ほか
【司会】小林治
Open18:00/Start19:00
¥1000(飲食別)
※当日券のみ

会場:新宿ロフトプラスワン
新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2
03-3205-6864
http://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/

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最近の仕事(新作DVD関係)

●鋼鉄神ジーグ
超燃えるロボットアニメ。最終回への展開が評判良いらしいですね。全16Pの解説書をお手伝いしています(小林治さんと共同)。第1巻目は基本的なキャラ設定と、永井豪先生の描いた絵を中心にした企画書、他に菊池晃氏が企画段階で描いたパワフルな鉛筆画なども掲載しました。1巻はBOXつきです。

●鴉-KARAS-第四話
個人的にも続きを楽しみにしていた作品です。特撮テイストのボディアクションと激しいエフェクト……って、「私のために、ありがとう」みたいな作品です(笑)。一挙に最終巻(第六話)までリリースが予定されています。ご縁があって後半戦をお手伝いすることになりました(小林治さんと共同)。
すでにラストまで拝見しましたが(完成してますのでご安心を)、この第四話はけっこうターニングポイントになってます。本作はこれまで設定やドラマ内容をあまり説明して来なくて、ビジュアルのパワーでぶっちぎってきたんですが、率直な感想は「あれ? そういうことだったんだ」というのが、この第四~五話。
乙羽が何者なのか、鴉の役割とゆりねの関係とか、鵺が何をしたいのか、そういうことが何となく分かります。なので解説書もそれと呼応するように、ここまで起きてきたことを把握できるよう内容を考えました。あと、独特なビジュアルの秘密も少し紹介しています。

●天保異聞 妖奇士(あやかしあやし) 四
作業的にはオンエアのラスト近くだったのでけっこう前のことになります。このシリーズは毎回の特典が異なるんですが、解説書は4巻目にまとめて付けるということでしたので、全64頁という圧巻の解説書がついています。先輩の中島紳介氏と共同で、取材と構成、執筆を行いました。インタビューは原作・脚本の會川昇氏、キャラクターデザインの川元利浩氏、時代考証の山村正夫氏に行っています。
『劇場版鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』と同じデザイナーさんでしたので、キャラクターの原案や原画の「鉛筆画の良さ」をとっても良く分かっていただき、大きく掲載されているので、個人的にもうっとりです。美術ボードも多数掲載されてますが、これもなかなか。
中島紳介さんとの仕事ということでピンと来られる方もいるかもしれませんが、「妖夷図鑑」が載ってますし「用語事典」もやってます。で、會川昇さんとの取材は中島・氷川のダブルで行ったわけですが、仕事は仕事としてきちんとやりましたが、アニメック・ステーションの同窓会みたいな部分もあったわけですね(笑)。
ちなみに「2クール目から盛り上がり、ぐっとハートに来たら、そのときは最終回だった」というのが私自身も正直な感想なんですが(割とそういう人が多い)、全5話でOVAが制作中です。個人的にも楽しみにしています。

●スカルマン The Skull Man
シリーズ構成は出渕裕氏、監督はもりたけし、制作はボンズで贈るダークヒーローもの。衝撃の最終回がオンエアされたばかりですね。エンディングの後、「ええっ? ここにつながるの」と腰を抜かした方も多いのではないでしょうか。小生は仕事柄、先に聞いちゃったんですけどね。こういうのって「役得」じゃなくて、「役損」とでも言うのでしょうか(笑)。
これは解説書に「髑髏の視線」という1頁ものの寄稿をしています。要は「みどころ解説」なんですが、非常に入り組んで見える作品なので、そのこんがらがったヒモを解くヒントみたいなものが多めです。こういう場合、「解説」だからと言って、解いてしまわないようにするのが難しいんですよね。観客の楽しみを奪ってはいけないですので。
これも対向するページで中島紳介氏が作品の外に連綿と続くジャンルとしての連鎖とか、そうした解説を記されていますので、そちらもお楽しみに。

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2007年7月16日 (月)

「BSアニメ夜話」単行本(オトナ帝国)

 「BSアニメ夜話」の単行本化(キネマ旬報社刊)も5冊目になりました。
 今回は『映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』(長いけど、これが正式タイトル)の回の再録です。
 氷川はいつもの「アニメマエストロ+」(オンエアの増補改訂)では「背景動画」について語っています。また、追加コラムでは「映画クレヨンしんちゃんの楽しみ方」というお題で、本作品の鑑賞ポイントについて述べています。
 今後、どの作品が単行本化されるかは氷川自身にも分からないのですが(オンエアと出版物では条件が異なるため)、一回ごとにいろんなことを考えているので、それが記録に残ることはありがたいです。おかげさまで何とか5冊を数えて嬉しく思います。

 なお、原恵一監督はこの夏『河童のクゥと夏休み』という劇場アニメ大作を発表します。それについても、キネマ旬報の本誌にコメントしました。あわせて読んでいただければ幸いです。ビッグ対談「新世代のアニメ作家たち-原恵一×細田守」も掲載されております。

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2007年7月14日 (土)

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」予告

いよいよネットでも予告編が公開です。

http://www.evangelion.co.jp/

 氷川はこの映画に関しては、

・チラシ
・プレスシート

をお手伝いしております。

予告編、機会があれば劇場でも観てほしいです。あの密度感、圧倒される感覚は、「全身で光を浴びる」という視聴環境で意味があるように思います。試写で観て、胸がいっぱいになった気持ちは忘れられません。仕事ヌキで、公開が待ち遠しいです。

P.S.劇場での予告鑑賞ポイントは、1)エヴァの緑色は「蓄光」または「夜光」だった! これはけっこうショック。いや設定的に分かってはいても、実際に「光」として認識するのは、こういうことか!という驚きです。 2)せり上がって来る第3新東京市のディテール。CG化するって、そういうこと! 3)インフラへのこだわり! 電線・電柱・信号・歩道橋にドッキリ! 4)鳥さん!鳥さん! 5)光! ってなとこでしょうか。

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2007年7月10日 (火)

次回三越カルチャーサロンは7/15

 次回の講座、次の日曜日に迫ってまいりました。お時間のある方、よろしくお願いします。 

氷川竜介が語る、アニメの楽しみ方

NHK「BSアニメ夜話(アニメ・マエストロ)」や各メディア・雑誌で活躍中のアニメ評論家氷川竜介の特別講座です。劇場公開や深夜枠の拡大でアニメが氾濫する現代、アニメの本当の面白さ、観所、聴き所を通(ツウ)の視点から解説します。

日 時:
(1)7月15日(日)「流麗なる快楽 アニメーターのベストアクション」
(2)9月16日(日)「細部に神が宿るアニメ美術のリアリティ」
各日14時30分~17時
講 師: 氷川竜介(アニメ評論家)
受講料: 各回2,415円

http://www.mitsukoshi.co.jp/store/1010/culture/lesson_oneday3.html

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2007年7月 6日 (金)

バンダイチャンネルの特集記事

 バンダイチャンネルの特集記事(無署名原稿)関係のリンクを掲示します。新旧とり混ぜてますので、前に紹介済みのものもあるかもしれません。特集は他のライターさんも担当しているので、確実に自分というのだけ記載します(これが全部ではありません)。
 けっこう無料で観られるものも多いので、お楽しみいただければ幸いです。

●美少女ガンアクション三部作
http://www.b-ch.com/contents/feat_girls_gunaction/index.html

●FREEDOM特集
http://www.b-ch.com/contents/feat_freedom/index.html

●特集「君が望む永遠」ワールド
http://www.b-ch.com/contents/feat_kiminozo/index.html

●コミックス・ウェーブ・アニメ特集
http://www.b-ch.com/contents/feat_comixwave/index.html

●「地球へ…」
http://www.b-ch.com/contents/feat_terra-e/

●「DARKER THAN BLACK -黒の契約者-」
http://www.b-ch.com/contents/feat_dtb/index.html

●望月智充監督特集
http://www.b-ch.com/contents/feat_t_mochizuki/

●雨宮慶太監督特集

http://www.b-ch.com/contents/amemiya_sp/index.html

●傑作アニメにokamaの名あり!
(映像のインタビューアーも担当)
http://www.b-ch.com/contents/feat_okama/index.html

●りんたろう監督&川尻善昭監督特集
http://www.b-ch.com/contents/feat_j_anime/index.html

●大地丙太郎監督特集
http://www.b-ch.com/contents/feat_a_daichi/index.html

●ロマのフ比嘉特集
http://www.b-ch.com/contents/feat_romanov/index.html

●富野アニメ最新作!『リーンの翼』
http://www.b-ch.com/contents/feat_y_tomino/index.html

●高橋良輔監督特集
http://www.b-ch.com/contents/feat_r_takahashi/index.html

●士郎正宗特集!
http://www.b-ch.com/contents/feat_m_shirou/

●河森正治関連作品
http://www.b-ch.com/contents/feat_s_kawamori/index.html

●もりたけし監督特集
http://www.b-ch.com/contents/feat_t_mori/index.html

●スタジオファンタジア特集
http://www.b-ch.com/contents/feat_fantasia/

●ガイナックス特集
http://www.b-ch.com/contents/feat_gainax/index.html

●機動戦士ガンダム特集(改訂)
http://www.b-ch.com/contents/feat_gundam/index.html

●新世紀エヴァンゲリオン特集
http://www.b-ch.com/contents/feat_eva/index.html

●京都アニメーション特集
http://www.b-ch.com/contents/feat_kyoani/index.html

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ファーストガンダム(TV)配信開始

 バンダイチャンネルで、いよいよ『機動戦士ガンダム』(TVシリーズ)の配信が始まりました。ということで、スペシャル版のメールマガジンをお手伝いしました(無記名原稿)。メルマガは会員登録してあれば無料で送られてきます。

http://www.b-ch.com/merumaga_html/sp18/index.html

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2007年7月 4日 (水)

素晴らしきピープロ特撮の世界

●素晴らしきピープロ特撮の世界
http://www.nihon-eiga.com/p-pro/

http://www.fujitv.co.jp/cs/program/7216_052.html

 「マグマ大使」「スペクトルマン」「快傑ライオン丸」などで知られるピープロが、CSで大特集! というわけで、ご縁があって「ライオン丸」に関する簡単なコメントをさせていただきました。直前までスペクトルマンの成川さんがいらしたということで恐れ多い感じでしたが、ピープロ作品について語る機会もなかなかないせいか、妙に浮かれたコメントをしちゃった気がします。まあでも、確かに当時は「安っ!」とか思ったものですが、妙に怖く、妙に惹きつけるものがあったんですよね。そして現実世界が、妙にツルツルのデジタル世界になってしまったいま、やっぱり妙に愛おしい。そういう偏愛が少しでも伝われば、と思います。

 オンエアスケジュールをいただいたので、貼りつけておきます。

[ピープロ魂放送スケジュール]
●フジテレビ721
7/06(金)28:25
7/09(月)11:40
7/13(金)28:50
7/14(土)17:00
7/16(月)28:30
7/17(火)10:00
7/21(土)11:00
7/23(月)24:00
7/25(水)11:50
7/25(水)24:00
7/27(金)26:00
7/29(日)28:30

●日本映画専門チャンネル
7/10(火) 18:00
7/13(金) 08:30
7/16(月) 09:00
7/24(火) 26:15

●時代劇専門チャンネル
7/14(土) 25:30
7/21(土) 27:00
7/22(日) 28:00
7/28(土) 27:30
7/29(日) 27:00

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2007年7月 2日 (月)

FLAG Director's Edition

 2007/08/08発売、高橋良輔監督『FLAG』の総集編が発売に先がけて大スクリーンで上映されることになりました。

■『FLAG Director's Edition  一千万のクフラの記録』完成記念 限定レイトショー

【日時】7月5日(木)~7月7日(土) 開場20:45/開演21:00(終演23:00予定)
【劇場】テアトルタイムズスクエア (タカシマヤタイムズスクエア 12F) 問合せ:03(5361)1937
【チケット】全席指定 2,000円均一 *先売りチケットは7/1~ 詳しくは劇場へ
【舞台挨拶】高橋良輔(総監督)
【スペシャルゲスト】7/6:押井守(監督)、7/7:谷口悟朗(監督)
【主催】アニプレックス
※出演者は予告なく変更する場合があります。ご了承ください。

 架空の紛争地域で一枚の「旗の写真」が大きく戦局を動かすことになる。その写真を撮った若手女性カメラマンが、国連の奪還部隊(ロボット的な2足歩行兵器を使用)と動向する……という物語です。
 一足先に試写で拝見した感想です。
 先行して発売されている全13話のシリーズは、彼女たちの撮った写真や映像素材、そして兵器の記録映像で再構築したドキュメンタリータッチの映像が斬新で感心しました。劇映画では「カメラマン」という存在は黒子のように「不可視」がお約束です。しかし完全なる不在ではなく、実際にはショット毎に「誰のどういう気持ちで観た映像」を代弁しているのか、そこには文法がありルールがあるわけです。
 一方、アニメーションという映像を考えた場合は、カメラマンが不可視どころか、手で描いた映像、コンピュータが作りだした映像は、事実上「不在」なわけです。どんな映像も、仮想のカメラマンを疑似することでしか作成できない。なのでその臨場感のギャップを、カメラマンの存在を明示することで埋めようというのは、理にかなってる。
 しかし、これが劇場サイズの尺と画面になると、果たしてどうなるのか。非常に興味津々でした。完成作品としては、やはり長尺を意識して「物語」を中心にまとめなおした感が良く出ていました。主人公の視点を中心に、てきぱきと物事が進むので、ある意味では分かりやすくなってます。
 それと、映像・音響の作り込みが半端ではないので、大スクリーンと大スピーカーで光と音圧を受けながら「体感」するという点が、非常に良かったと思いました。
 そういうわけで、お時間のある方はぜひ。珍しいゲストも来られますよ。
 P.S.この総集編はブルーレイ版も発売されるそうです(ハイビジョン制作)。

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2007年7月 1日 (日)

橋本一子(デジタルリマスター)

 橋本一子と言えばアニメファンにとっては『ラーゼフォン』での多彩な音楽、そして母親役での声優挑戦ということで記憶されていますが、自分にとっては素晴らしいミュージシャン、アルバムを教えていただいて出渕裕監督の感謝、という印象です。ちょうど当時からアマゾンでの発注が当たり前になったので、上から順に手に入るものは発注ということをして、時にジャズ、時にボイスの即興など多彩なアルバムを楽しませていただきました。特にSF系への造詣が深く、題名をディックなどにちなんだものも多く、そういう点で肌が合うようなところもありで。
 そのアルバムが大量にアマゾンから届きました。廉価版の再発売という情報を得ての注文ですが、帯を見ると「新たに橋本一子自身によるライナーノート(7タイトル共通)封入」とありまして……。え? 7タイトル? 届いたのは4タイトルなんです。あわてて検索しなおすと、以下の7つが復刻のすべてでした。あと3つ発注せねば。

 1985~1990年に発表されたポリドール時代のアルバムということで、Y.M.O.での活動を経ていろんな音楽に挑戦していた時期。で、このあたりだとちょうどCDへの切り替わり時期なので、エアポケットのようにCDになっていない、もしくはなっていてもレアなアルバムが全体的に多いんですよね。サントラ盤でも「さよならジュピター」あたりがまさにこの時期ですが。
 まあ、幸か不幸かそれがいま復刻ということは、かなりマスタリングの技術が向上しているので、その当時のCDよりも良い音で聞けるのでラッキーです。具体的な音質の変化は、音圧の向上によるダイナミックレンジの確保、高域へのヌケの良さ、あと圧迫感の減少と、突きぬける透明感の良さと迫力増強方向のはずなので、まさに一子さんの音楽のためにある改善ポイントっぽくて、楽しみです。

 で、そう言えばご紹介が漏れたかもしれませんが、『ラーゼフォン』のDVD-BOX合わせでCD-BOXも発売されています。てっきり4枚組なんで、当時のものを組み合わせたBOXだと思いこんでいたのですが。なんと! 再構成されているわけですね。特に劇場版の『多元変奏曲』が、当時のサントラは劇場新曲+ベスト盤みたいな構成だったんですが、もっと劇場寄りになっているということで、買い直しました。
 そういえば番組が始まるとき、そして劇場版になるときに、橋本一子さんにも取材させていただいたことを懐かしく思い出します。ともかくサントラは曲数が多いので、仕上げるのに徹夜の連続で、最後の方は朦朧として幻覚を見た、なんて話が良かったですね。
 それ以後も『ラーゼフォン』は何度かTVシリーズの追加収録をしていて、いま『電脳コイル』が話題の磯光雄監督が脚本・作画・演出を手がけた第15楽章も、特別にピアノ曲を録音しています。何かとぜいたくな作りでした。
●ラーゼフォン CD-BOX

 あと検索していたら、「あれ?これも一子さん?」というのを発見。 そうです、チワワの演技が有名になった「どうするアイフル」のCM曲なんですね(笑)。これもいっしょに届きました。
●Heartful Dream

※追記

 えー、なんとご本人からトラックバックがついております。光栄でございます。一部敬称略になっているのは、作家呼称の慣習上のことなので、他意はありません。こちらからの返し方が良くわからないんですが(情けない)、努力してみます。そういうわけでアルバム・楽曲解説は、橋本一子さんのブログでお楽しみくださいませ。

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