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2007年3月23日 (金)

大友克洋「蟲師」映画術

 いよいよ公開、オダギリジョー主演の実写映画「蟲師」。
 漫画家、アニメ監督として『AKIRA』や『スチームボーイ』など数々の作品を発表、全世界に通用する作家のひとりである大友克洋氏が、なぜ漆原友紀さんのマンガ原作「蟲師」を? しかも実写で? その疑問に答えるメイキングムックです。
 日本独特の森林中心の大自然のロケハンから、VFXを駆使した特殊映像まで。大判で圧巻の構成で迫ります。
 このムックは「一般的な構成」とは違うのが大きな特徴です。「一般的な構成」とは何かと言えば、「キャラクター」「ストーリー」「美術」「設定」「スタッフインタビュー」「キャストインタビュー」「版権画集」みたいなブロックごとの「情報」が配置されている一種の定番化した「資料集」のようなもの。ここを読んでおられる方なら、きっと書棚に何冊かはあるでしょう(笑)。
 本書では、構成を物語でメインを張る登場人物に寄せ、取材した情報も本文のなかに埋め込みで展開していくという構成。氷川含めた複数ライターが分担し、得意なブロックを書くという、「一冊に編みあげる」という努力を重ねたものです。
 なので途中、校正刷りをもらっても、ちょっと「ギョッとする」ところがあるんですね。ページ開いたときの押し出し、インパクトがあるというか。

 それで肝心の『蟲師』という映画ですが、これはけっこう妙な得難い「映像体験」をしたという感じです。過去と現在が併走、あるいは交錯して描かれる独特の語り口で、もっとも肝心なことや因果関係は、説明は放棄して画にして埋めこまれているので、「分からない」という感想はけっこう出そうです。確かに筆者も、よく分からないところが多数でした。それでも妙な感じが残る。
 が、いろいろと再見していったり検証していくうちに、「ああ、こういうことか」というもの(特に死生観)が見えてきて、それが仕事をしていてもっとも面白かった部分です。とはいえ、そういうスタイルだとゴールが明解でないため、予想外の猛烈な時間を要してしまい、各方面にはご迷惑をおかけしました。
 そんな一風変わったムックですので、映画に何かしら引っかかった方は、ご満足いただけるのではないかなと。アニメ版もすでに大きな評価を得ていますが、『蟲師』という作品には「蟲」だけに、何かしら人を触発させるものがあるようですね。そういう目でもう一度、『蟲師』関連のあれこれをチェックしてみたいと思います。

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» 蟲師の劇場版映画 [蟲師とオダギリジョーが好き]
ついに蟲師が劇場映画で公開されました。月間アフタヌーンで連載中の蟲師。単行本では350万部を売り上げる大人気コミック「蟲師」2006年講談社漫画賞に輝いた蟲師の劇場映画。ついに上映されましたね。蟲師の主演はオダギリジョーをはじめ豪華メンバー。独特なタッチで描かれた神秘的な蟲師の世界を映像化している。蟲師の映画の構想に2年、そして約3か月もの期間を要してロケ地探しに奔走。琵琶湖周辺や富士の樹海など日本人の原風景とも言える自然を背景に、最新のVFXを駆使して妖しき蟲たちの世界を描...... [続きを読む]

受信: 2007年4月 8日 (日) 07時08分

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