ヤマタケハードボイルド
これもついさっきアマゾンから届きました。発売は9月21日。
山下毅雄氏は昨年物故した作曲家で、アニメでは「スーパージェッター」「冒険ガボテン島」「ガンバの冒険」、実写でも「悪魔くん」「ジャイアントロボ」など数々の名作を手がけ、「7000曲を作った男」とも異名をとる名作曲家。口笛の名手でもあり、スキャットのパヤパヤ系の曲が印象的。そのジャズ系の即興性の高い音楽は近年になって盛んに再評価され、トリビュートアルバムなどが多数作られ、CDも多数復刻されて、いちファンとしてありがたいなと思ってました。
自分の仕事ではガンダム放映中にキングレコードで担当させてもらった『佐武と市捕物控』が印象的で、完全ではないんですが、BGMテープも奇跡的にその時点までは存在してました。いつか何らかの形で完全版が出てほしいですが。
その前に、あれだけ有名でありながら、世に一度もオリジナルBGMが出ていない代表作中の代表作が、『ルパン三世』。厳密に言うと、『佐武市』からの尺八の流用曲(五右衛門関係で使用)はちゃっかり先述のアルバムに入れてるわけで皆無ではないんですが、もう36年の間見つかっていないので、「再演奏版」「MEミックスからの復元」「再々演奏版」と何度も出てるわけですよ。
で……話はようやくこのアルバムにつながるわけですが(迂遠ですいません)。
まずこのアルバムのコンセプトは「ハードボイルド」とありますが、もっと暴力的な感じの東映の劇場映画を中心にしています。「人斬り観音唄」「日本暴力団 殺しの盃」「博徒外人部隊」「カポネの舎弟 やまと魂」「現代やくざ血桜三兄弟」という、すいません私も観たことがありません、でも題名でお腹いっぱいみたいな。で、あえてここで扱う理由はですね、収録年代にあるわけです。はい、すべて「1970~1972年」の録音なんですね。
勘のいい人ならもうお分かりと思いますが、そうなんです。即興性の高いヤマタケ音楽だけに、「ついにルパン三世の音楽が発見されたよ!」と言ってブラインドテストをしてもわからないような曲がいくつも含まれてるわけですね(笑)。「ルパン」は1971年だから、ちょうどはさんでいる形なのできっとそうだろうなあと、またもギャンブルをしてみると、案の定アタリの曲がいくつもあって喜んで聞いてるわけです。
まあ、これは正直、かなりヨコシマな購入動機なわけです。だって、ホントのことを言えば、こうしたヤクザ、和製ハードボイルド、暗黒街(ノワール)系の「オトナな感じ」の一連の仕事があって、その中に『ルパン三世』が含まれるわけなので。つまり、ルパンの方がサブセットなんですよ。と、アルバム全体を通して聞くと、そういうこともシミジミわかって、また山下毅雄氏の音楽が好きになれる。というようなアルバムです。
あと余録としては、ヤマタケサウンドは仕事中に薄くBGMとして流しておくと、よくはかどるんですよ(笑)。「大岡越前」4枚をプレイリスト化したやつとか実にいいですよね。頭にシャカシャカ、キンキン引っかからないところがいいんでしょうね。ともあれ、よくぞ出してくれました。ありがたや、ありがたや。
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