第2回吉祥寺アニメーション映画祭
去る10月13日(金) 吉祥寺にて行われました表題イベントですが、多数の方のご出席をいただき、ありがとうございました。当日はノミネート作品の上映と、「竹熊健太郎さん蛙男商会さんトークショー」、そして授賞式という流れでした。
受賞作品は以下の通りです(たけくまメモを参考にさせていただいてます)。
●グランプリ
「電信柱のお母さん」(坂元友介)
●優秀賞
「花の翳」(吉田暁)
●審査員特別賞
「ひよこどんとてれび」(松下藍)
●審査員特別賞佳作
「太陽に喧嘩を売った男」(塩見信隆)
「おしるこ」(青木純)
「In Silence」(上杉真理子)
●STUDIO4℃賞
「Apartment!」(青木純)
●コアミックス賞
「オデカケメエメエ」(くぼたえみ)
現時点でネット上で観られると判明しているところには、リンクを張ってみました。これも、「たけくまメモ」の情報です。感謝です。
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以下は各作品の個人的な感想です(公式な選評ではありません)。
●「電信柱のお母さん」/坂元友介 10:30
★これが優勝作品です。切り紙アニメ的手法で大変丁寧に制作された作品。電柱から伸びる電線が変形してゆりかごなどになって赤ん坊を育てたりする。これだけだとメルヘンですが、外敵(?)から守るあたりのビジュアルが妙にリアリティがあって、画面に吸引力があります。アニメーションって、こういう人を引っぱりこむ力があるんだという原点確認できます。
●「花の翳」/吉田暁 15分
★これは準優勝に相当します。少女漫画風の画調で綴られた説話風の物語 。新規性には乏しいのではないかという議論もあったのですが、私は逆で2Dのスライドの組み合わせ(つまりエレメント的にはまったくの同トレス)で平面を超える瞬間の表現が気に入っていたのです。話の内容と絵柄と色彩と音響のマッチングも、「きれいなものを観たい」という欲求にはきちんと応えていると思います。
●「ひよこどんとてれび」/松下藍 12:50
★事実上の第3位ですね。実写加工とアニメの共存を使ったPV的な作品。デジタルハリウッドなので、合成技術も編集も音楽も、非常に美麗で凝ってます。目ざしたイメージとか、妙な臨場感とかハマる方にはハマるようです。ちょっとサブカル属性の低い自分には、申し訳ないですが難しいとこもありました。
●「太陽に喧嘩を売った男」/塩見信隆 5:50
★16:9ワイド画面のはずが4:3での上映ミスがあったそうで、恐縮です。影絵のようなモノクロ平面構成による壮大なサーガで、目が回るようなビジュアルが良かったです。
●「おしるこ」/青木純 1:16
★灼熱地獄の中の一発ギャグを、フィルタ処理と作画で妙に緻密に描いたところが大笑いできる作品。青木さんはもう1本受賞してます。さらにもう1本「コタツネコ」が同じく一発芸的ですが、我が家では大受けしてました。3作それぞれテクニックが違うところも素晴らしい。
●「In Silence」/上杉真理子 8:40
★セピアカラーで綴られた人形アニメの映像詩的な作品です。実写合成もあります。欧州映画調の映像の調べを興味深く拝見しました。
●「Apartment!」/青木純 5:17
★アパートの内部と外部をいったり来たり、壮大なワンカットアニメです。先述の青木さんの作品ですが、これは一発芸ではなく、細かく練られた部分が味になって、しかも笑えるという奇特な作品です。
●「オデカケメエメエ」/くぼたえみ 1分
★手描き系のイラストタッチで描かれた掌篇。これはもう、キャラのカワイイ感じと色彩で勝負ということで。雑誌「MdN」とか良く買って、デジタル時代のイラスト制作や写真加工などの手法を見るのが好きなんですが、これからはそういうイラストも動かすとより魅力的、なんて路線があるのかなと思いました。
あと、今回は残念ながら選外でしたが、以下2作も印象に残りました。
●「ヒトしずく」/松浦直紀 20:00
★緻密なペンタッチを活かし、遊牧民のような生活者たちの壮大な日常を描いた力作。絵柄など非常に好みでしたが、一番の焦点は尺(長さ)でしょうか。
●「兵 つわもの」/古部
★甲冑の武士の騎馬戦。やはりモノクロ平面構成なんですが、筆のようなタッチのイラストが躍動感あふれる美しい動きをするので、いたく感心しました。
この2作などは別に悪いところがあるわけでもないし、レベルも相当に高いので、入らなかったのは本当に「たまたま」だと思います。今回、本当に力作ぞろいでなおかつ志向性も技術も、実に多彩なので、全体でのバランスの中で決まってしまったことも多いと思います。
演台での講評でも述べましたが、まずはそうした力作多数をいただいて、アニメーションが好きな人がこれだけいることが確認できたことには、すごく勇気づけられたし、幸せなことだと思いました。しかも量的にも数字的にも、まだまだ伸びて行くだろうと、そう思わせる作品ばかりなのは、スゴイことです。
逆に審査員の方が、選び方で審査されているかのような思いさえありましたから、こうした変革に対してもっと敏感でありたいと思いました。また、自分も手を動かしてツールを使ってみたいなと。まあこれは2年前に竹熊氏に作品の山を見せていただいたときから、思っていることです。
地デジによって公共映像のパラダイムが完全に変化するまであと5年、アニメ第一世代たちがリタイヤし始めるまであと10年。まあ、この5年、10年なんてあっという間でしたから、「誰もがアニメをinもすればoutもする」ということが自然になる時代の到来に向け、自分の仕事の方向もチューンしていきたいなと思うわけで。それに対して、良い刺激になる仕事でした。
応募者のみなさん、関係者のみなさん、ありがとうございます。
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